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1.1. 本書の位置づけ

ハッピィ・エンジニアリング表紙

 システム開発は、新しい技術を活用すれば優れたものが作れるわけではなく、新しい方法論を持ち込めば成功するというものでもない。このことは、言うまでもなくご承知のことだろう。すなわち、成功に近づくために必要なことは、別の次元に存在する。

 

 システム開発を成功に近づけるには、

 

  • 先入観を捨て
  • 現実を正しく認識し
  • 現実と理想のギャップを分析し
  • 正しい方法論を適用する

 

ことこそが、一番の解決策となるのである。

 

 まずは、自分自身の限られた経験からくる先入観を捨てることである。ビジネスの劇的な変化、ひとつとして同じシステムが存在しない現実を振り返れば、自分自身の経験がどれほどつたないものかであるを想像することは容易であろう。

 

 先入観を捨てたうえで、現実を客観的に、かつ正しく認識し、現実と理想のギャップを分析しなければならない。出発点が間違っていたら、たとえ地図が正しくとも目的地に到着することはできない。現在地と目的地を明確にすることが重要である。

 

 そして、理想的な姿を手に入れるための正しい方法論が必要である。これは自分自身で学ぶことなくして手に入れることはできない。目的地に向かうために、遠まわりせず、できる限り早くゴールするための方法を決めなければならない。飛行機の存在を知らなければ、飛行機という手段を利用することができないように、システム開発においてはさまざまな体系的な知識を持たなければならない。そして、交通手段に絶対的な安全はあり得ないように、どこにリスクが潜んでいるのか、どれだけのリスクなのかを知る必要もあるだろう。

 

 本書は、プロジェクトマネージャやその予備軍だけを対象読者としたプロジェクトマネジメント指南書でもない。また、事象への対症療法のみを示したケーススタディ本でもない。

 

 海外理論や単なる理想主義にとどまらず、日本におけるシステム開発の実情に合わせ、上述した相互理解、自分の使命の明確化、ゴールの共有というプロセスを実現するための道筋を示した本である。その内容は、実際のシステム開発プロジェクトに関わるユーザ企業・SIベンダ・下請けの開発会社それぞれの立場を超えて有益な情報となり得るはずである。

 

 本書に書かれていることに、目新しいものはまったくない。どれを取っても、どこかで語られたシステム開発の、現実の姿と常識である。しかし、その常識は、どのような開発現場でも常識として用いられていない。秩序のない世界に新しい秩序を持ち込むのは、ある意味、大きな革命である。革命は常に困難と犠牲を伴い、時として挫折する。

 

 しかし、本書を手にした方は、おそらく徒労感と矛盾と無理が蔓延している現状のシステム開発に問題を感じていることと思う。私たちは、「楽をするためなら、どんな苦労もいとわない」を合言葉にこの革命を達成しなければならない。システム開発が本来的な「利用者へのサービスという形での企業への利益提供」となる日を夢見て。

 

 また、プロジェクトは往々にして組織のバックアップを必要とする。組織的なバックアップを行っていくべき管理職や経営者の方にも、ぜひご一読をお勧めする。

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