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1.5. 心の叫び

ハッピィ・エンジニアリング表紙

 問題が山積している一方で、問題に対する解の考え方は人によりそれぞれであり、共通認識すら存在しない。問題に対する解を認識するうえで、その要素として以下のような派閥があることを考慮して語る必要があるだろう。

 

  1. .解は存在しない派
  2. .解は存在する派・経験則系
  3. .解は存在する派・海外理論受け売り系
  4. .解は存在する派・実践系
  5. .無関心派

 

 「解は存在しない派」には、現実に疲れた技術者が多い。「銀の弾丸などない」という有名な言葉を持ち出したがるが、滑稽なことに、この言葉の意味するところと彼らが言っていることは話の本質が異なっていることにさえ気がついていない。

 

 「解は存在する派・経験則系」には、SEあがりの押しの強い年配者が多い。残念なことに、この派閥から出てくる話は一般論にはならず、「俺ならできる」という裏返しの自慢話となってしまう。

 

 「解は存在する派・海外理論受け売り系」は言わずもがなである。日本ではセミナーと本屋の棚にのみ生息を許されている。頭でっかちの輩が多く不毛な論争を趣味にしているにすぎず、日本の商慣習に当てはまらないことを延々と主張していることが多い。

 

 「解は存在する派・実践系」は「解は存在する派海外理論受け売り系」の亜流であるが、海外理論がそのままでは日本で通用しないことを認識するに至り、独自の方法論を構築している人々である。その独自の方法論は宗教がかっており、宗教人にありがちな独善性と、国産理論にありがちな普及の限界を超えることができずにいる。

 

 「無関心派」は、自分自身の持つ技術スキルの世界に閉じており、ほかの余計なことはどうでもいいという考え方の人が多い。

 

 このように、解を持つ/持たないという違いや、解の方向性の違いにより、終わりなき宗教問答が繰り返されている。しかし、共通して言えることは、誰もが心の中で「どうでもいいから、誰かなんとかしてくれ」と叫んでいることだ。この叫びの次には、必ず心の中でポツリと「でも、誰にでもできる簡単な方法でなきゃダメ」というつぶやきがついてくる。

 

 本書には「でも、誰にでもできる簡単な方法でなきゃダメ」というような安易な人向けの解決策は書かれていない。それに期待している人は、「現世に極楽浄土はない」ということを認識すべきである。もし、安易な解決策を求めている人が、それを見つけたとしよう。それだけ安易に解決可能な仕事の中で、果たして自分自身の価値を見いだせるのだろうか?

 

 一流のスポーツ選手は自分に対する投資としてスポーツトレーナを雇い、その指導の下に誰よりも厳しいトレーニングを継続している。能力の高い一流のビジネスマンでいるためには、正しい道筋に従って勉強を続け、その解決策を自分自身で見いださなければならない。

 

 極楽や天国を目指すのであれば、その命が果てるまで念仏を唱えるべきだ。このような努力なしに、現世に極楽浄土や天国を求めても、その願いはかなうわけがない。「楽をするためには、どんな苦労もいとわない」という継続した努力あってこそ、問題に対する適応能力を養うことができるのだ。

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