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10.6. 見積もり

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 スケジュールを作成する上では、作業量と工数・所要時間を十分に見積もる必要がある。一般的なプロジェクトは、実現性を無視して、納期から逆算したスケジュールを作成している。さらにそのスケジュールを維持するためのリソースが計画されることもない。このようなプロジェクトは、誰もが「無理」だという意識を持ったままプロジェクトを進め、最終的に「無理」がたたるのである。

 

 予算やリソースの量を決定するのはスケジュールである。プロジェクトにとって現実的に必要となる時間を十分に検討した上で、さらに資金面との調整を行うべきである。つまり、各ワークパッケージを実施する際の時間的・技術的・資源的な前提や制約をふまえた問題点の洗い出しを行い、そのうえで作られるのが現実的なスケジュールである。ただし、前述したように、実際問題として、積み上げたスケジュールは、納期をオーバーすることが起こり得る。その場合には、リソースの追加投入を考え、納期とマッチさせる必要が出てくる。さらにコスト面で無理がある場合には、プロジェクトスコープを狭める、プロジェクト期間を延長するなどの対応策が必要になる場合も考えられる。

 

 プロジェクトの初期段階における見積もりは、以下のような手順で行うのが一般的である。

 

  1. 基礎数値の設定
  2. 例えば、FP法のように入出力の項目数や複雑度の規定を用いたり、言語換算したステップ数の尺度を利用したりして、見積もり上の標準となるボリュームを設定する。

  3. 標準工数の設定
  4. 上述の標準となるボリュームに対する標準作業量を設定する。

  5. 各種係数を乗算
  6. 規模や難易度に応じた倍率のテーブルを作成する。

  7. 全体規模に応じた補正

 

 上述した作業を繰り返すことで、ワークパッケージの見積もりに応じた累計が計算できる。しかし、常識的に知られているように、大規模プロジェクトほど、さまざまなオーバーヘッドが生じるため、全体規模を考慮した補正が必要である。

 

 どのような技法を用いたとしても、一朝一夕に精緻な見積もりをすることは不可能である。精緻な見積もりを行うためには、各プロジェクトにおける作業実績や、所要時間・工数の根拠となる情報を集めておくことが重要である。作業規模、作業の新規性、技術的な難易度、不確定要素、作業の待ち要因、並行作業による生産性のロスなどの前提条件をきちんと収集することで、見積もり精度の向上が期待できる。

 

 そして、見積もりは単なる当て推量であってはならない。見積もりに十分な根拠が存在することはないにせよ、その精度を高めて実現可能なスケジュールを作ることが目的である。

 

 プロジェクト計画段階に精度の高い見積もりをする必要性はいうまでもない。しかし、プロジェクト計画段階において、詳細な作業レベルでの正確な見積もりを行うことは現実的に不可能である。プロジェクトが進むにつれ、プロジェクトの詳細に対する理解が深まるとともに、計画段階での予想とのギャップが発生していく。このギャップを埋めるためには、定期的な再見積もりが必要となる。再見積もりを行うタイミングをプロジェクト計画に定め、プロジェクトのすべてのプロセスが計画的に行われるようにする必要がある。

 

 もちろん、プロジェクトのスコープ自体が変動することもある。そのような場合にも、WBS・ネットワーク図・見積もり・スケジュールのすべてが更新されなければならない。

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