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11.1. リスク管理とは

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むだ、むだ、むだ。むだとリスクは、いつも隣り合わせだと思うね。現実にむだになったプロジェクト作業、ほんとうに後戻りせざるを得ないような大きなむだは、かならずリスクが現実になった結果だ。そこで、わたしがなにか一つやるとしたら、リスク管理だね。プロジェクトが直面するリスクを管理することによって、プロジェクトを管理するんだ。ソフトウェア開発はリスクの多い仕事だ。その仕事を管理するということは、リスク管理を実践することだと言っていい。
『デッドライン』トム・デマルコ著, 伊豆原弓訳, 日経BP社, ISBN4-8222-8053-5

 

 システム開発におけるリスクとは、それが現実の問題となったときに、QCDとプロジェクトスコープに悪影響を与えるものごとである。つまり、リスクは現実の問題となっているものではない。現実の問題となるかどうか、問題がQCDにどれだけの影響を与えるかどうかは、プロジェクトの結果からしか判断できないものである。

 

 システム開発のように、あいまい性が高く、不確定要素の多いプロジェクトでは、悪い結果に転ぶことがないように、プロジェクト全体を通じてリスクを抽出し、リスクの監視とコントロールを行うことが重要である。

 

 しかし、業務システムにおけるリスクには二面性があり、リスクを回避すればよいというものではない。プロジェクトは安全かつ確実に進めていかなければならないが、事業の面においては、積極的にリスクを取る必要がある。

 

 例えば、厳しいスケジュールが要求されたり、技術的に新規性を必要とする開発案件に対して、新しい技術要素や開発方法論を取り入れることで、今より優れた解決が可能であったと仮定する。過去に経験しない新規要素を取り入れることは、大きなリスクであり得る。少々コストやスケジュールが増加しても、既存のやり方を踏襲するほうが安全かもしれない。しかし、SIベンダや開発会社の立場では、技術的・エンジニアリング的な革新を避けて通ることは、他社に後れを取ることを意味する。このように、リスクから逃げれば没落する。そして、新規要素というリスクを無視したとき、プロジェクトは失敗するのである。

 

 業務システムの開発において重要なのは、大成功することではない。失敗しないこと、仮に失敗したとしても、その被害を最小限に抑えることが重要である。そのためには、さまざまなリスクを抽出・分析し、リスクが現実の問題に変わらないうちに、それを軽減する必要がある。もしリスクが現実の問題になってしまったときには、迅速に対処し、被害を最小限に食い止めなければならない。

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