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6.5. プロジェクトにおける標準化の利用

標準化の運用

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 さまざまな「標準」が揃ったところが実際の標準化のスタートである。言うまでもなく、作り上げた「標準」を実際のプロジェクトに適用することこそが、標準化において一番難しいことである。

 

 システム開発の工程は、現時点では、工業製品の製造工程と異なり、常に同じやり方が通用しない。そのため、作業者が定められたプロセスに合わせていくことは難しい。前述した通り、「標準」は「万能」ではない。本来、「標準」はそのままの形で適用すべきではあるが、その完成度により個々のプロジェクトに合わせた形に変更する必要が出てくる場合がある。

 

 しかし、標準化プロセスを実際のプロジェクトに適用することは、それなりに難しい作業である。そこで、「この標準は、今回のプロジェクトには合わない」という免罪符を許さず、プロジェクトを厳格なものとして扱うためには、実際のシステムに適用していくためのガイドラインを作成しておく必要がある。

 

 実際のプロジェクトに適用する場合の問題のひとつは、「標準」に含まれない事象への対応である。特にありがちなのは、どこかに記載すべき内容が、標準化されたドキュメントのフォーマットに存在しないというようなケースである。このような事象に対しては、迅速に対応策を決定し、すべてのプロジェクトメンバに通知する必要がある。

 

 もうひとつの問題は、「標準」がオーバースペックだった場合である。標準化された作業プロセスに記載された「そのプロジェクトにとっては無意味な作業」を行うことは、コスト・時間・労力に影響する。必要のない作業であれば、行わないように、きちんと「標準」から取り除いて活用すべきである。

 

標準化の順守

 標準化をプロジェクトメンバ全員に順守させるためには、その意図をプロジェクトメンバに徹底しておく必要がある。なぜ標準化プロセスがあり、なぜそれを順守しなければならないのかを徹底せずにプロジェクトをスタートさせた場合、標準化プロセスはすぐに形骸化する。

 

 さらにいえば、各作業担当者が、自分の担当する作業プロセスを組み立てられるようにすべきである。与えられた標準作業プロセスに慣れることは、生産性や品質の向上につながる半面、プロセスを自分自身で組み立てていくことができなくなる場合が多い。マニュアルに頼り、自分で考えることができなくなるのである。このような事態を避けるには、作業者自身が具体的なアクティビティに対するタスクの洗い出しとスケジュールを作成し、チームでレビューするなどの対応が必要となる。

 

 また、標準化プロセスを徹底するために、プロセスの順守を促進するツールの提供は効果的である。ツールの利用によりプロセスの一意性を確保するのである。プロジェクトメンバは、作業負荷を軽減するようなツールであれば、積極的に活用する。ツールの利用により標準化が順守されるような仕組みを作っていくことは重要である。簡単な例では、統合開発環境の利用などが挙げられる。コンパイルのレベルやソースのインデントなどを設定できる統合開発環境があれば、コーディング規約を順守することが簡単になるうえに、品質管理者がそれをチェックするのも容易である。開発プロセスとマネジメントプロセスの簡略化を実現できるようなツールを検討することは、標準化を行ううえで非常に有効な手段と言えよう。

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