このエントリーをはてなブックマークに追加LINEで送る

第9章 プロジェクト計画

ハッピィ・エンジニアリング表紙

 プロジェクトマネジメントについて書かれた本には、プロジェクトの失敗原因の多くは、プロジェクトの初期段階における計画が不十分であったことと記述されている。これまで、ゴールを明確にし、共有することがプロジェクト成功へのスタートであると述べてきた。まずは、プロジェクトのゴールと、ゴールへ至る最短距離の道筋を描き、それを共有することが必要である。そのためのドキュメントがプロジェクト計画書である。

 

 システム開発プロジェクトは常にあいまいであり、さまざまな変更が発生する。そのため、計画されたことをその通り守ればプロジェクトが進むわけではない。しかし、それがプロジェクト計画をしないことへの言い訳にはならない。

 

 計画を立案すること自体にはデメリットはない。なにが決まっていて、なにが決まっていないのか、なにがあいまいなのか、さらにはプロジェクトに問題が発生したときには、どのように問題を特定して解決していくのか、などをあらかじめ規定しておくことで、プロジェクトを順調に進めていくことができる。例えば、問題が発生した場合、その場しのぎの対応には限界がある。スケジュールが押し迫っているときにトラブルが発生した場合、そのトラブルに対応するリソースが割けない場合がある。追加リソースを投入しようと考えたときに、プロジェクト予算が尽きていたのでは、リソースの投入は不可能である。

 

 つまり、プロジェクトを順調に進めていくためには、ほかならぬ作業スケジュールのみならず、すでに前提として決まっているものごとや、あいまいなままになっていること、決定されていないこと、問題が発生した場合の特定や解決策などを事前に計画しておき、プロジェクトチームの共通認識としなければならない。さらに、その計画から逸脱しないように、場合によっては計画を変更しながらQCDへの要求を満たすようにプロジェクトを進めていくのが、プロジェクトマネージャの役割である。

 

つまりプロジェクト計画書とは、利害関係者の満足を得られた結果としてプロジェクトを終結させるために、最初に作成するドキュメントである。

 

 プロジェクト計画は現実的であり、かつ入念なものでなければならない。入念な計画は、プロジェクトメンバの不安感を取り除くことができる。プロジェクトメンバが、このプロジェクトを終わらせることができるかどうかという不安を持ったままでは、「とにかく終わらせる」ことだけに意識が向いてしまう。しっかりした計画をプロジェクトメンバが納得することにより、プロジェクトメンバには精神的な余裕が生まれる。そこでようやく、プロジェクトメンバはQCDの向上などの目標に対して意欲的になることができる。

 

 ただし、プロジェクトの初期段階においてすべての条件が出そろうことはなく、変更は必ず発生するという当然の前提を忘れてはならない。

 

 本章では、プロジェクト計画の概要および計画書への記載事項、プロジェクトの成功に必要な目標設定などについて述べる。重要なマネジメント要素については、次章以降で解説する。

第9章 プロジェクト計画 ハッピィ・エンジニアリング記事一覧

9.1. プロジェクト計画の概要 ハッピィ・エンジニアリング

 プロジェクト計画を立案する段階では、すでにプロジェクトマネージャとプロジェクトの中核となるメンバが確定している必要がある。プロジェクト計画は、プロジェクトの最終責任者・プロジェクトマネージャ・中核メンバが協力して作成し、プロジェクトマネージャが最終的な取りまとめをするべきである。 プロジェクト計画...

≫続きを読む

9.2. プロジェクト計画書 ハッピィ・エンジニアリング

 プロジェクト計画の最終的な成果物は、プロジェクト計画書である。プロジェクト計画書の承認をもって、プロジェクトは正式にスタートすることができる。ただし、現実的には、プロジェクト計画の各要素は段階的にレビューされ、計画段階の最終的な成果物として最後にプロジェクト計画書の承認を受けるのが一般的である。 ...

≫続きを読む

9.3. 目的と目標の設定 ハッピィ・エンジニアリング

 プロジェクトの目的や目標は、プロジェクト内で共通認識とすべき大前提である。目的や目標の明確化なくして、そのプロジェクトが成功することはないといっても過言ではなかろう。プロジェクトを計画する第一歩はプロジェクトの目的や目標を明確にし、利害関係者を含めた合意を得ることである。そして、さらに綿密なプロジ...

≫続きを読む

シェアしてくれると嬉しいです!
このエントリーをはてなブックマークに追加LINEで送る

ハッピィ・エンジニアリングとは? 書籍を読む プロフィール コンサルティング